しいのき迎賓館のプロジェクションマッピング。
人手も設備も技術も映像もとても素晴らしかった反面、金沢の魅力がおよそ一辺倒なものであることを再認識させられた。

魅力の偏りが一流のクリエイティブに閉塞感を生んでいる。
伝統色に傾倒するあまり、金箔、織物を中心とした表現となってしまうのは致し方ないこと。。。としてしまっていいのだろうか。「伝統工芸」が金沢の魅力の支柱であることは素晴らしいことだし、誇るべきこと。でもその他はどうなんだろう。人が惹かれるその要素がはたして伝統や史跡、グルメばかりなのか。その答えに何か根拠こそがない安心を覚えていたりしないだろうか。他の都市ではどうだろう。リピートを獲得する人気観光都市の要素はそこに根付く伝統工芸を準えるものばかりなのだろうか。

瞬間で、大規模な映像からはものすごく漠然と、遠回しな警鐘を感じ取りました。

僕がもしこの地元に生まれ得ないとして、上記の様な"金沢の魅力"を並べられたところで、正直に楽しくはないと、そう思います。
伝統、受け継がれる技術に尊ぶべきものはあったとして、生活に、現在に、未熟な自分になにかプラスになる様な利点、口コミネタにはおよそ扱われないものばかり。住んでいる自分すら手にしようとも思わない金箔や友禅が、外部の人間という条件だけで受け入れられる理由が見つからないんです。

交通インフラが整って、距離的な解消を波に起きる、大規模な人の流れの変動。この土地の食べ物の質は魅力ではあるけれど、それは他の土地も然り。
老若男女に受け入れられる、無理の無い魅力の創造を何かひとつでも生み出さないと、最低でも人に話したくなるような楽しみを生み出せないと、その環境の最大活用は引き出せない、そう考えます。

金沢は何のまち?
間に合わせでない、ほんまもんのクリエイティブがここに求められてます。